大工さんのゲン担ぎ
今回は大工さんのゲン担ぎについて解説致します!
この梁には『天長地久四海波静曲尺壱尺貮寸乃水』と書いてあります。
建物の安全と家族の繁栄を願って書く文字です。
天長地久は物事が窮まることなく永遠に続くこと、四海波静は天下がよく治まって平和であることを意味する四字熟語です。
面白いのは後半です。
曲尺(さしがね)というのは大工さんが使うL字型の物差しのような道具で、表・裏があり、裏面には丸目・角目と共に財・病・離・義・宮・劫・害・吉といった文字が刻まれています。
その一尺二寸の目盛りの裏側に書かれているのが『吉』です。↓
つまり『吉乃水』となります。
古来日本家屋は船にたとえられ、工事とその後のお施主様の生活を永きにわたる航海に見立て、その安全と繁栄を願う意味が込められているそうです。
大工さんならではの言葉遊びがとても粋ですね!
ちなみに字が書かれている梁を太鼓梁と言います。
梁の左右を真っ直ぐ削り落とし上下は丸太の丸みを残した梁です。
これには曲がった松の木を使います。
曲がりが上にくれば、どんなに力が加わっても耐えれるので太鼓梁に使われます。
不思議なことに梁の断面が太鼓の形をしていることからこの様に呼ばれています。
削り落とした面は木目が美しく出るように加工されていて、思わずはっとするほどの美しさです。
以上、豆知識でした。
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